僕と君だけの世界

 僕は、僕の上で達してしまう人間の

 顔を見ているのが好きだ。

 顔を紅潮させて、息を詰めて

 純粋に快楽を貪っている一瞬の

 動物らしい人間の表情が好きだ。

 僕はそれを、下から観察するように眺めている。

 僕は僕の躰の、一部にのみ神経を集中させて

 愉しんでいる男が一瞬好きになりかける。

 その瞬間だけ、僕らはお互いを求め合っているから。