兄姦(2)

「おちんちんが欲しいです、潤樹のチンコを、僕のお尻に入れて掻き回して下さい……ッ」
 体内の熱を逃すように息を喘がせながら、兄はお利巧にお強請りの言葉を吐く。しかし、とても及第点とは言えた物じゃない。
「何でそんなもん着てんだ?」
 俺の前では一切の服を着ないよう躾けている筈だ。冬になれば膝上丈のコート一枚で散歩に出掛けた事もある。夏場は、機会さえあれば全裸のまま散歩することだって可能だろう。
「ご、ごめん……なさ、い……」
 兄はもどかしくなる様な指先でハーフパンツを脱ぎ、肉棒から滴る我慢汁に濡れた下着を剥いだ。充血した下半身を見せつけるように晒した後で、腕を上げてティシャツを脱ぐ。その順序は褒められたものだった。
「これで、良いです、か……」
 伺うように俺を見る。全身が欲情に染まり、熱がこっちまで伝わってきそうだった。
「もう一回言ってみな、何か足らないんじゃないのか」
 俺は兄の躰を見下ろす内に熱を覚え始めた股間の位置を指で掴んで直した。その仕草に兄が鼻を鳴らし、顔を寄せてくる。
「僕のお尻に、潤樹の……ぶっといおちんちんを、突き刺していっぱい、いっぱい掻き回して欲しいです……」
 ジッパーの隙間から匂いでも嗅ごうとするかのように兄は鼻先を押し付け、俺の屹立を擦り上げる。こういう時に手を使って勝手に物を欲しがらないのも躾の良い証拠だ。便器の品評会でもあるなら、出品したいくらいに出来が良い。
「違うだろ、……ッたく、こんな簡単なことも覚えられねぇのかよ」
 わざと苛立たしげな言葉を投げ付け、俺の顔を仰ぐ兄の頬に唾を吐き掛けた。びくんと肩が揺れる。
「あ……ッ、淫乱な絢太の、……汚い尻マンに、潤樹のぶっといおちんちんを根元まで入れて……たくさん、イって・欲しいです……」
 吐き掛けた唾が、喉を詰まらせながらもきちんとお強請り出来た兄の顎先へと滑り落ちる。俺が合格を出すと、兄は待ってましたとばかりに唇から舌を伸ばしてその唾を舐め取った。
「本当変態だな、兄貴って」
 手を縛られてもいないのに、俺のチンコを欲しがるのも唾を掬い取るのにも、手を使おうとしない。自分で自分を縛っているかのように。
「どうしようもねぇ変態だよ」
 俺が繰り返すと、兄は嬉しそうに腰をくねらせて鼻を鳴らす。投げ付けた言葉に愛撫を感じているのだろう。
「淫乱で変態で、……チンコが好きな尻マン奴隷の絢太に、潤樹のおちんちんを下さい……、欲しくて、もう、変になっちゃいそうなんです」
 兄はベッドの上に獣のように四足を突いて俺の股間に顔を埋めた。腰はもはや止まらなくなった振り子のように、ずっと揺らめいている。
「これ以上変になるもんかよ、弟のチンコを欲しがるようなド淫乱がよ」
 ぴったりと肌に張り付いた俺のジーンズの上から兄はやんわりと歯を立てて勃起を形取った。もう、言葉を解さない動物になってしまったようだ。発情期の猫よりも甘い声を漏らし、しかもその盛りの時期は一年中続くのだから性質が悪い。これでよく大学に入れたものだ。
「ほら、がっつくんじゃねぇよ」
 俺は兄の髪を鷲掴みにすると容赦なく引っ張った。ジーンズのフロントが粘った唾液でびっしょり濡れてしまっている。兄は髪を引かれた痛みに眉を顰めながらも、その表情はどこか恍惚としているようだ。
 濡れたジッパーを、汚いものでも摘むように指先で引き下ろし、下着を晒す。兄がイキそうな声を漏らして早くしゃぶらせてくれと強請った。
 フロントを寛げると、下着の脇から自分でもなかなかのサイズだと自負している勃起を取り出す。兄が俺の手を無理矢理振り払って亀頭にむしゃぶりついた。
 辛抱が足りないのか、……これでも躾は相当根を詰めてやったつもりだったけど、今日は我慢させ過ぎたのかもしれない。
「ん、ふん……っ・ぅむ……う、んッ……」
 兄はようやく自分の手をシーツから上げ、俺の腿を後ろから自分の口に押し付けるように掴んだ。20センチ近くある俺の自慢の肉棒を飲み込むのは、最初は酷く手こずったが今ではいきなりこんなディープスロートも出来るくらい、尻マン同様口マンも開発出来ている。
 その内兄の前歯を抜いてやろうかと俺は考えていた。そうすれば益々こいつは肉奴隷としか生きていけなくなるだろう。勿論今でも男の肉棒がないと生きていけない躰だが。
「む、ッふ……うゥ・ン……んク、ん、ン……」
 兄の赤い唇に吸い取られ、貪られ引き寄せられた腰を、兄の頭を抑えこんだまま突き上げる。だらしなく拡げられた咽喉奥に亀頭がぬちょぬちょと擦れた。兄は背を丸めて嘔吐感を堪えながら呻き声と甘い泣き声を交互に洩らしている。俺は尻マンを貫くのと同じように兄の上顎を突き、兄は唇の端から溢れた唾液と先走りを啜りながら、もはや舌を使うことも忘れ、唇を窄めることしか出来ずに俺に促されるまま顔を前後に振った。
「オラ、チンポ美味いのかよ」
 下腹部を容赦なく兄の鼻先に叩きつけた。苦しげに兄が顔を顰めるが、その顔にも陰毛を擦りつけてぐちょぐちょに濡らしていく。兄がえづく度に食道が大きなうねりとなって俺のチンポを絞り上げる。絞られ、口腔の濡れた凹凸に擦りつけてびくびくと脈打つ俺のものを喜ぶように兄が鼻を鳴らし、恍惚とした表情で目蓋を閉じる。首を上下に振っているようにも見えるが、俺の突き上げにただ揺れているだけかもしれない。
 夕飯前に仕込んだ、兄の尻のバイブに手を伸ばす。オイルをたっぷりと塗ってやった其処を、兄はバイブをズッポリと咥え込んでひくつかせていた。
 根元を指先で押して左右に揺らす。兄はくぐもった悲鳴を上げて細い腰をくねらせ、我慢汁でベッドのシーツを濡らした。勿論兄の性器には紐を結わいてイケないようにしてある。
 兄が悲鳴を上げる度に収縮する咽喉の奥にチンポを突き付けながら、兄の咥え込んだバイブを一度引き、再び突き刺す。大きな玉を幾つも埋め込んだ極太バイブは兄の火照った肉穴を存分に掻き回すのだろう、兄は目尻から涙の雫を滴らせて腰を振った。俺の肉棒に躊躇うように充てられた歯列が小刻みに震え、絶妙に気持ちが良い。
「オラ、オラ、……イクぞ!」
 俺は兄の躰を前後から挟み打つように蹂躙しながら咆哮するように告げて、激しく腰をグラインドさせた。玉袋も陰茎も亀頭も、欲望でパンパンに膨れ上がってるのが自分でも判る。兄はもっとよく知っているだろう。されるままになっているようで、それでも自主的に咽喉を駆使して俺の先走りを吸い上げ続けている。
 爪先から背筋を通って脳天まで、ぴーんと快感の絶頂が走り抜けた。どぷっと音が鳴ったかと思う程のザーメンが兄の口内を満たした。
「ぐ、ッ……ぇ・ウ……ん、ンくぅ……ん・っン……」
 一度兄が咽喉を詰まらせた所為で最初の白濁が唇の外に洩れ、兄の顎先から床に零れた。いつもなら粗相を叱るべきところだが、どうも俺も溜まっていたらしく量が多かった。仕方がないとしよう。