LEWD(13)

 吉村とのハメ撮り写真と共に私のサイズを記したメールをlewdに送った。
 返事は直ぐにはなく、吉村と私はそれを楽しみに待った。もしlewdが誰か判明したら三人で愉しむか、と吉村に言うと、直ぐに彼はとろんとした目つきになるのだった。
 翌週の水曜になってlewdからのメールは帰ってきた。返信が遅くなったのはバイブを探し出し、購入しに行くまでの時間を要したからだとメールの本文に書かれていた。私の性器は並外れて立派なわけでもないと思うが、カリが高い。lewdは出来るだけそれに忠実な張り型を探してきたのだった。
 それに添付された写真で、初めてlewdの上半身の躰が映されていた。鼻から下の、唇だけだがlewdは購入した勃起の玩具を美味そうにしゃぶっているのだ。一度自分で吐き出した精液を玩具に塗りつけてあるのか、濁った液体が顎から滴っている。勿論唾液もあるだろう。
 私は週の半ばで吉村を呼べない所為もあり、下肢の疼きを止められなかった。
 lewdはてらてらと光る舌を伸ばして尿道口を舐っていた。その感触を想像して私は自信の先端を自分の指でくじる。lewdのえづく声が聞こえてきそうなほど、彼は張り型を――私の肉棒を、喉の奥まで苦しげに飲み込んだ。なせ彼が顔を晒さないのかは知らないが、唇しか映し出されていないのに、彼の表情が私には容易に想像できた。
 喉に亀頭の尖りを擦り付けられ、目尻に涙が滲むほど苦悶の様相を呈しているのに顔は紅潮し、恍惚を隠しきれないような
 そんな表情に違いない。
 先走りで掌も幹も濡れた。今度はそれをlewdが自らの尻まで導く。すでにそこはオイルで解されていた。早く早くとせがむ声が聞こえてきそうだ。締まりの良い尻を片手で割り、淫らに息づく蕾を容赦なく突き破る。lewdは背中を反らして快楽に打ち震えた。
 もっとだ、もっと。私は扱く掌に回転も加えて弄ったが、やはり生の尻肉には代え難い。lewdだって同じ気持ちだろう。張り型を床に擦り付けて腰を振っているが、本物の肉棒には変えられないに違いない。 
「あァ、……ッぅ・……クっ、う、あ・あぁ……っ!」
 私は目を閉じてlewdの躰を思った。私はまだ吉村の躰しか知らないが、lewdの躰は私の欲望をどう愉しませてくれるのだろう。それを考えると激しく興奮した。
 一度目の吐精が、勢い良く吹き上げた所為でモニターに掛かった。ブラウザに開かれたlewdの肢体に意図してぶっ掛けたように見えて、私は慌ててカメラを構えた。
 それを拭わずに、勃起の冷めやらないチンポをlewdのアップで写された尻穴写真に擦り付ける。ひんやりとした感触が、私の倒錯した行為を昂ぶらせた。
 玩具をしゃぶるlewdの唇に自身を押し付けて擦り立てる。モニターがますます濡れ汚れていくが、気にならなかった。冷たいブラウン管に熱が移る気さえしていた。
 私は写真のlewdと性交し、直ぐに二度目の射精を迎えた。それでもまだもの足りず、吉村を呼びつけたいとすら思った。
 その後私はこの都外の工場に出向という形の左遷を命じられ、パソコンは事務所に持ち込んだ。次期社長の気まぐれで残業させられることの多い夜には、こうして職場で個人的なメールを受信する。何せ此処にはイントラネットもなければ会社のサーバーもない。私のメールアドレスは個人のものしかないのだ。
 若林から近況を尋ねるメールや本社の動向を報せるメールが届いたり、吉村から他愛もない話題が届いたりする。しかしそれ以外は相変わらずDMが大半と、lewdからのメールが届くばかりだった。
 lewdは私と同じサイズの張り型を銜え込んで、今日は自身にローターを取り付けていた。内部から前立腺を張り型で突かれ、突出したペニスにも機械のうねりを与えているのだ。
 lewdはフローリングの床の上で肢体をくねらせ、先走りを腹の上に滴らせて悶えていた。
 これでは駄目だ。
 私は、一方の手で欲望を扱きながら返信ボタンを押した。
 “お前は何も判っていないな。
 チンポの根元を縛れ。私が良いと言うまでイクな。お前のような尻マン野郎にチンポは要らないだろう、縛り続けて腐って落ちても構わないんだ。
 手には手錠を掛けろ。決して自分で扱けないようにするんだ。足は膝を折って左右別々に縛れ。
 自分で解けなくなったら、友達にでも電話してその恥ずかしい格好を見て貰うんだな
 とにかくそんなザマじゃ及第点はあげられないよ”
 今日は画像を付けられない。デジタルカメラはホテルにあるし、lewdを甘やかす気がなかった。叱られたと思った彼はどんな風に思うのだろうか。どんな表情をするだろう、勃起するだろうか。
 lewdの反応を思いながら私は薄暗い事務所で達し、メールを送信した。