LEWD(40)

 私達が会社の階段で行為に及んでいる以上に、lewdの緊張感は高いだろう。しかし緊張感が高まれば高まるほど彼の下肢はいきり立っているのだ。
「ひゥ……、ッ! ン・く……ぅむ……ゥ……」
 lewdの写真を横目に見た吉村の頭を、私は自分の股間に乱暴に押し付けた。うねるような咥内の粘膜を掻き分けて狭い喉へと勃起を突き立てる。吉村は目をきつく閉ざしてその責めに背筋を震わせた。突き入れたものを一度大きく引き抜いて、再度抽送する。えづきながら喉口を大きく開いた吉村が自発的に顔を前後に振った。
「……ッく、……ァ・はぁ……」
 階段の壁に背を凭れた。吉村がそれを追うように――片時もしゃぶるのを止めたくないと言うかのように、私の腰に手を回して吸い付いてきた。
 喉マンを突かれながらぬらついた舌を裏筋に這わせる吉村の端麗な顔には、唾液と私の先走りが混じった汁が塗されていた。
 亀頭を奥まで銜え込んで、唇だけを捲り上がらせるとちゅぱちゅぱと幼稚な水音を鳴らし、もじつかせた股間には今にも染みが浮かび上がってきそうだった。
「期待のエリートがこんな処でさぼっていて良いのか?」
 頭上に声を掛けると、情欲に潤んだ目がちらりと私の顔を仰いだ。ぞくりとするような、淫乱の眼だ。彼は以前からこうだっただろうか。それとも行きずりの男達に仕込まれたのか? 或いはもしかして私以外にも男がいるのかも知れない。
「美味そうにチンポしゃぶりやがって」
 頭に血が上るのを感じた。吉村の頭を両手で鷲掴みにすると尻を掘るのと同じように乱暴にピストンする。私の顔を仰いだ瞳が苦痛に閉ざされて、腰に回った手も縋り付いているだけになる。ただ、私の言葉にだけは微かに首を上下に揺らした。私が満足するためだけのために呼吸もままならないほど咥内を蹂躙され、それでも吉村はまだカリの張った先端を喉で吸い上げた。苦痛の涙か寒気の涙か、滴の伝う頬を窄ませてくぐもった声で鳴いた。
「――……ッく・ゥ……! 良い、……良いぞ」
 腰を突き上げる度に吉村の背が痙攣するように震えた。捻じ込まれようとする肉棒を喉襞が押し返してざわめく。吸い上げすら弱くなって、吉村の顎先を体液が伝った。頭を押し付けたまま、逆流する食道を突く。顎を大きく落とした吉村の股間が張っている。lewdが電車の中で勃起しているのと同じくらいに、いや、それよりも絶頂間は近いようだ。
「イク、――イク、イくぞ……ッ、吉村、……ァ・っ!」
 吉村の顔を抱え込んで粘膜をたっぷりと穿った。たっぷり濡らした下肢を掻き乱しているかのような、淫らな水音が階段に響いた。叢に掛かる吉村の呻き声にも似た荒い吐息が、私の興奮を高めた。
 熱くなった頭がすっと冷えていくような奇妙な感覚が私を襲う。足が地から離れたような。一時意識を失ったのかとすら思った。電気を流されたような痺れが脳天まで駆け上がって、私は吉村の赤く色付いた唇の中に射精した。
「ン、……むぅ・ッ……ゥう・ん――……っ! く・ッん、フぅ……ン、む……」
 幾度にも分けて大量に吐き出した私のザーメンを、吉村が顔を紅潮させながら必死になって啜り上げる。口に収まりきらない陰茎を伝って叢に流れていく物を追って玉まで舐め上げた。私の性器が萎えてしまっても、暫くの間はそうして舐っていた。
「吉村、……もう良いよ」
 そう言って私が乱してしまった髪を撫でてやるまで、吉村は人間らしい言葉すら忘れてしまった犬のように私の股間に鼻先を埋めた。
「梶谷さん、…………」
 熱っぽい眸が私を仰ぐ。吉村の張り詰めていた股間はすっかり納まっていたが、代わりに小さな染みが広がっている。私のものをしゃぶりながらイってしまったようだ。