LEWD(44)

 下着の端から太く滾ったペニスを掬い出す。指の腹で擦ってやると、みるみる隆起した。熱くなった躰がそこから熱を放出させたがっているのが判った。血の動いていく音さえ聞こえるような気がした。
「梶谷、……さん、……っ」
 火照った躰を小さく震わせて吉村が声を潜める。視線を遣ると、そそり立った肉棒が彼の腹を打ちワイシャツを汚している。
「な、……舐めて良い、ですか……舐め、させて下さい……っ僕、梶谷さんの……、を・舐めたいんです……」
 懇願する声を時折詰まらせて吉村は便所の床に膝を折った。私の足へそろりそろりと指を這わせる。
「しゃぶりたいのか」
 掌で支え持った男根がますます漲っていくのを感じた。吉村の濡れた唇を見るとそれが更に鼓動を強める。涎の溢れそうな唇に屹立を捻じ込んでやりたい衝動に駆られた。
「はい、……ッはい、僕、梶谷さんのチンポをしゃぶりたいです……! 梶谷さんの、……ザーメン、……飲みたい……喉の奥までチンポ突き立てて、お……ッ、……犯して欲しい、です……」
 吉村が我慢できなくなったように私の股間に唇を寄せてくる。私のスーツを握り締めて、震えていた。その手を無下に払う。吉村が息を飲んで私の顔を見上げた。
「さっきしゃぶらせてやっただろう」
 以前から吉村は口で奉仕することを厭わなかったし、逆に自分から進んで銜えたがるところがあった。尻を向けるのが嫌なわけではなく、自分が男の股間に顔を埋めてえづきながら精を搾り取るという苦痛と快楽が、彼の性感に合うのかも知れない。
 フェラチオを断られた吉村は弾む息を隠そうともしないまま、悲しそうに目を伏せた。濡れた睫毛は濃く長く、女性的でもある。
「股の上に座れ」
 天井を向いた肉棒を支えたまま私が命じると、吉村の重い睫がぴくりと震える。
「尻までぬるぬるになってるんだろう、私のペニスの上に座るんだ」
 自らの亀頭をぬるりと撫でた。先走りが滲み出て、指を濡らす。その指に吉村が舌を伸ばした。睫を上げ、私の顔色を窺いながら指先を濡らしたカウパーを舐め取る。丁寧に舌を這わせてから唇に含み、短く何度にも分けて吸い上げる。それと同時にゆっくり腰を上げて私の膝に跨った。
「ン、……ふ・っ……はァ……」
 膝の上に一度腰を下ろして指を銜えた吉村が、互いの肉棒が偶然当たると背筋を仰け反らせて喘いだ。唇から唾液に塗れた私の指が抜ける。私はそれを彼の腰に緩く回した。
「梶谷、さ・ぁン……っ、僕、……僕……絶対、……梶谷さんを本社に、……ィっ、連れ戻し、ますから……っ!」
 吉村は私の首に腕を回すとそう囁きながら私の首筋に顔を埋めて重ねた腰を揺すりたてた。上体を互いに引き寄せあうと、腹の間で濡れた二本の肉棒がくちゅくちゅと音をたてて絡み合う。自然と私からも腰を動かした。吉村のか細い声が耳朶の直ぐ傍で甘く響く。ぞくぞくと背筋を滑り落ちて、直接股間に響いてくるようだ。
「あ、……あッ……梶谷さ、……ぁ、僕っ……駄目、僕イっちゃいます……ッ駄目、だ……ァ・あ……ッイク……イクっ」
 私は鼻先を擦りつける様にして吉村の耳朶を探り、唇に含んだ。発情した猫のように甲高い声を弾ませる吉村が大きく躰を捩った。その動きを封じ込めるようにきつく抱き寄せる。
「あ……っ・ア……! イ、イク、イク……イっちゃいます……ぅ、梶谷さん……ッ僕……!」
 躰を大きく引き攣らせ、腰を突き出して私の腹に亀頭を擦り付けながら、吉村は私の髪を掻き毟るように掴んで吐精した。