LEWD(81)

 じっとりと汗ばんだ吉村の肌に私の平手打ちの痕が薄っすら浮かび上がってきた。体毛の少ない吉村の薄い尻は、前に屈んでいる私からは見えないが充分に熟れてヒクついていることだろう。それは熱心な口淫の舌遣いでも判るし、また多田の視線が私の股間と吉村の下肢の間を往復していることでもよく判った。
「梶谷さんが逢いに来た"女"って、吉村のことですか?」
 多田は自らの肉棒を握った手を離すと鈴口から滲むカウパーを中指の腹にねっとりと絡め取って、吉村の深く割れた双丘になぞらせた。
「ふ・く……ぅう、ン……っ!」
 一人暗闇の中で、相手が誰とも判別のつかない――本当についていないのかどうかは判らないが――相手に尻を弄られることを恐れて、吉村が弱々しく身を捩った。その喉から拒絶の言葉を吐かせないように、私は猛々しく反り返った男根を突き刺す。
「いや、……本当は別件だけどね」
 答えながら、私は資料室の壁を見渡した。この部屋に壁時計はないらしい。
 加賀見は今頃何処で何をしていることやら、だ。lewdからメールの返事はまだない。もし、加賀見とlewdがこの東京の何処かで逢っているとしたら――一体どんなことになるのだろうか。
 加賀見の目的は判らない。lewdから私のパソコン宛に送られてきたメールを見て加賀見がlewdに欲情しているのだとしたら、加賀見は……
「ン、っくゥ……! ン、んんっ・むゥ、ぅうン……ッ・ん、ン――……!」
 唾液で粘ついた吉村の喉が大きく開いた。甘い、甲高い声をくぐもらせながら首を激しく振りかぶる。ふと視線を戻すと多田が吉村の肉壷に勃起を捻じ込んでいた。
「ッく、……何や、相当遊んでんのかと思ったら随分きついなァ……」
 多田は頬を紅潮させながら吉村の双丘を両手で掴み、左右に割りながら腰を小刻みに振り、奥へ奥へと肉棒を押し進めている。吉村の悲鳴染みた呻き声は喉まで突き刺さった私の性器に響き、射精を促そうとしているかのようだ。
 しかし実際は見えない相手の挿入を恐れているのか、吉村は身体を激しく捩って拒もうとしている。
「その内慣れるさ」
 私は聞き分けのない子を叱るように吉村の髪を掴み、後ろへ引いた。喉が反れ、上顎をなぞった私の肉棒が唇の外に漏れると途端に吉村の今まで詰まっていた息が溢れ出す。行為を拒絶しているかのように振舞っていても、吐息が充分熱っぽかった。
「はァ……! や、ぁ……だ……ア・あッ……梶、谷さ……ァ、梶谷さん……ッん、……――!」
 私の躰に縋り付く様に片腕を回し、いやいやと首を振る。多田はようやく根本まで捻じ込んだペニスを嵌めたまま乱暴に腰を回した。嫌だ嫌だと繰り返す吉村の声がその衝撃に合わせて律動的に震えた。
「その割にはチンポをビンビンにさせているじゃないか」
 床に立てた膝が宙に浮くほど腰を振り回されて、吉村の反り返った性棒は自身の腹を打って濡れていた。私はそれを揶揄しながら、彼の唾液に汚れた肉棒を彼の鼻先に押し付けながら扱いた。
「嫌だ、ァ・僕……っ――梶谷さ、ア・や……ゃっあ・ァ……あ……っ!」
 多田が腰を引き、また打ち付ける。さっきまではきついと言われていたアナルももうすっかり蕩けきっているのだろう、多田の剛棒が肉襞を分ける度にぬちゅぬちゅと淫らな音を立てている。吉村も自ら腰を振って、感じる箇所を擦りつけているようだ。
「本当にチンポの好きな男だな、お前は」
 私は、もはや私の声が聞こえているかどうかも判らない吉村の頭上に囁き掛けると硬く猛った男根から、彼の顔を目掛けて吐精した。