LEWD(84)

 多田の背中に腕を回し、仰け反ろうとする躰を雁字搦めにして吉村が舌戯をしていた。
 背後から押さえつける私の力と、下からしがみついているかのような吉村の力で多田は悶えることも思うように出来ずに、ただ躰の内を震わせていた。その慄きを力強く突き上げると、もはや雄叫びのような嬌声を上げる他なく、私は途中で慌てて多田の唇を掌で覆った。
 幾ら何でも、扉の外をいつ誰が通るか判らないのだ。内側から鍵を掛けてはいても、いつまでの部屋の中にいられるわけではないのだし。
 背中を抱いていた吉村の掌が下降する。断続的に多田の腹を突きながら吉村の動きを見下ろすと、その唇を降下させて、下腹部に口付けた。
「ン、っ――むぅ・ん……ッんー……ッん、ンむ――……!」
 唇を押さえた私の掌が多田の唾液に濡れた。だらしなく開いた唇は閉じている暇もないのだろう、舌が私の指の間を舐め、唾液が流れ出ている。
 吉村が多田の――さっきまで自分の尻を掘っていた――肉棒を吸い上げる度に、多田の後孔がビクビクっと引き攣った。それに釣られて私の穿ちも深くなり、乱暴な動きへとエスカレートして行く。内部から抉られ、外側から舐め啜られた多田の性感は歯止めが効かなくなったしまったように、裸体をのたうち回して善がった。
「ンふぅ、ァ・っク……! 出る、……ッ・駄目、出る出る……アカン、もうイク、って……!」
 大きく頭を振った多田が喉を逸らし、全身を小刻みに痙攣させて硬直した。尻たぶが大きく戦慄く。
「――ん、……む・ぅ……ッん、ん、ンん……」
 吉村は三度目にして勢いは失したであろう多田のザー汁を咽喉の奥に受け、鼻を鳴らしながら彼の肉棒を吸った。多田は頂きに達した後も余韻にがくがくと身を震わせて恍惚とした喘ぎを漏らしている。彼も今や己を無くしているに違いない。
「中で、いかせて貰うぞ」
 私は、声さえ聞こえているかどうか怪しい多田の耳に低く告げ、腰のグラインドを止めなかった。睾丸を双丘に打ち付け、肉の跳ねる音を響かせながら楔を打ち続ける。ぐったりと上体を床に崩れさせた多田はそれでも、腹を穿たれる度に呻き声ともつかないような甘い声を漏らして身を捩らせた。
「……く、ッは・ぁ……」
 一度吉村の口淫を受けた後では吐精が遠いように思えた。多田の肉壷は使い込まれているという程でもないが、吉村や加賀のように未踏の地というものでもない。だからこその具合の良さもあるが、どうも私にはある種のフェチシズムが染みついてしまったのか、或いはもはや私の性欲は刺激による生理的な絶頂ではなく、自分の躾けた肉を開発することによる制服欲の快楽なのだろうか。
 無論、そんなことを思ってみたところで私の猛りは多田の肉の喜びに意味もなく張り詰め、射精の時を迎えようとしていた。
「・ッ――吉、……!」
 多田と私を繋いだ部分まで吉村の唇が滑ってきた。もはや私がお座成りに縛りつけた目隠しなど額までずれているが、その紅潮し、汗に濡れた顔はただの性獣と化し、体液に塗れた肉に貪りついている。
 掌の一方は多田の腹の中で蠢く私の亀頭を探し出そうと多田の若い下腹部を弄り、一方では少しでも自身の硬直を鎮めようと自慰を続けていた。
「ぅ、ッ……クは・ぁ……っ! ア……!」
 吉村は私の股間を擦り抜けると多田の尻を抱えた私の背後から私の陰嚢や、私の尻の谷間に舌を這わせ始めた。多田の腹に当てていた掌を、私の腿や脇腹の間に往復させ、愛しげに撫でながら夢中で尻を甘噛みしては、過敏に収縮してしまう私の反応に自身も甘い息を吐いて、遂には私の腿に溜めに溜まったザーメンを勢いよく噴き付けた。
「ぁ、ア……っ梶谷さ……ッ! かじ……ァ、僕……梶谷さん……っ!」
 下肢にしがみつきながら身を打ち震わせ、幾度にも分けて跳ね上がるペニスから射精する吉村の体液は私の肌の上をどろりと流れ、肌を焼くほど熱く感じた。吉村に縋り付かれた下肢を激しく動かすことも出来ず、それでも私は前後に男を従えるとそそり立った昂りを抑え切れずに多田の後門の奥深くを、白濁で汚した。