PRESENT(2)

「チンポ擦って良い?」
 純の膝の上に座った俺の躰を、純は巧みに服を剥いでいって、相変わらず耳朶の傍で尋ねる。いつもは嫌だと言ってもするくせに。
 掌は相変わらず体温を感じさせないほどなのに、純の息が掛かる耳朶が熱くなる。俺の躰が紅潮している所為なのか、それとも純の息が熱くなっているのか判らない。判らないほど俺の意識は朦朧とし始めている。純のシャツにしがみつく手に力を篭めて、唇から漏れそうになる声を堪えるので精一杯だ。
 おざなりとも思えるくらいにたださらりと撫でられただけの肌の中で、乳首だけを執拗に捏ねられて俺は、喘ぐ声を堪えようとする以前に怒鳴るのを堪えていた。
 確かに純は俺の乳首を気に入っている──少なくとも俺の体の中では一番弄る率が高い気がする。純の言うのには俺の乳首は他の男と比べてぽってりとしていて大きいらしい。捏ねるほどに赤くなって腫れ上がっていくのは自分でも判る。純にいつも揶揄われているし。
 純曰く俺の乳首をやたらと弄り回すのはここが一番俺の感じやすいところだからと言う。そんなわけがあるか、馬鹿、といつも言い返していたけど、純がいつも執拗にそこを捏ねる所為で実際そうなってきたような気がする。
 俺が頷くのを待って開かれたジッパーの下の勃起は、殆ど乳首にしか刺激を受けていないのにもう先端を濡らしているのだから。
 その濡れた亀頭を擦られると俺の全身は純の膝の上でびくびくんと跳ねて、仰け反った。閉じようと伏せた瞼が俺の視界を塞ぐ前に、俺の表情を見つめる純の顔が見えた。意地の悪い顔で笑っている。顔を背けて目を瞑った。
「尻穴触って良い?」
 俺が顔を背けたのが気に入らなかったかのようなタイミングの良さで純が言った。
 焦げ付くように熱く脈打っている俺の肉棒を上下に扱き上げる純の掌が少し熱を帯びて来たように感じる。単純に俺の熱が移ったのか、或いは──純だって、欲情している筈だ。
 俺は下唇をきりっと噛み締めながら純の手淫に耐えて、純の首に回した腕を片方解いた。俺の体を乗せた膝の合間の、股間に触れる。
「何、手じゃなくてこっちで触って欲しいの?」
 案の定、というか勿論なんだけど、純のそこも熱く脈打っていた。嬉しくなって、そのジッパーを引き下ろす。純も協力的に、扱く手を緩めてくれた。
 パンツを開き、下着を掻き分けて純の物を掬い上げると立派に天を向いている。カチカチで、太くて──螺旋状に刻まれた青い脈動がぶくっと浮き上がっている。俺はそれを掴むだけで自分の物を擦られている以上に感じてしまっていた。
「雅」
 名前を呼ばれて顔を上げると、純が俺の唇を乱暴に吸い上げた。たっぷりと唾液を交換し合うような、俺の好きなキスだ。
 そうしながら、純は俺の膝の裏を腕に掛けて抱え上げると下着を付けたままの俺の尻に猛々しい肉棒を擦り付け始めた。
「くぅ、……ッふ、ん、ン……!」
 純の勃起を感じたときからずっとヒクついている蕾に、一枚の布越しに与えられる熱がもどかしくて俺は腰を揺らめかせた。
「んんぅ、……ンふ……ッあつ、……しィ」
 ぴちゃぴちゃと音を立てて縦横無尽に俺の口内を舐め回す純の舌を追いながら、俺は顎の舌までを漏れた唾液に濡らして喘いだ。